東京大学合格を目指して、国立情報学研究所などが開発してきた人工知能「東ロボくん」は、長文の読み解きなどに技術的な壁があり、現在の人工知能の限界が明らかになったとして、研究グループは、東大合格をいったん諦めることを決めました。これまでの成果は、今後の人工知能の研究などに役立てるということです。
「東ロボくん」は、平成23年から、国立情報学研究所やメーカーなどが共同で開発を進めてきた人工知能で、東京大学の入試を突破することを目標に、センター試験の模試に挑んできました。
14日に公表されたことしの成績は、すべての科目を合わせた偏差値が57.1と去年から横ばいとなり、科目別では、物理が伸びた一方、数学が下がるなど成績にばらつきが見られました。
詳しく見ると、単語の意味など知識を問う問題は強いものの、長文の文章を読み解く力などが伸びていないということです。研究チームでは、辞書のようにあらかじめ与えられたデータがある短い文では理解力が極めて高い一方で、長い文章になると文脈を理解できないという限界が示されたとしています。そのうえで、現在の技術ではさらに大きく成績を伸ばすのは難しいとして、東大を目指す取り組みをいったん終了するということです。
プロジェクトのまとめ役を務める国立情報学研究所の新井紀子教授は「今後は一律にセンター模試を受け続けるのではなく、科目別に技術を磨きたい。受験生の中にも人工知能と同じように読解力不足の子どもたちもいると思うので、これまでの成果を基に、人間の読解力を向上させる研究にも取り組んでいきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB