アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになった東芝の綱川智社長は、27日午後4時半から都内の本社で記者会見し、「原子力事業についてはこれまでエネルギー事業の中で最も注力する領域としてきたが、その位置づけを変えていく。国内事業は原発の再稼働やメンテナンスを中心に続けていく一方、海外事業については今後の在り方を見直していく」と述べました。
そのうえで綱川社長は「原子力事業を独立させて社長直属の組織として情報共有や意思決定の迅速化、コスト管理の徹底などを図っていきたい」と述べました。
綱川社長は主力の半導体事業を分社化する方針を決めたことについて「大容量で高性能なフラッシュメモリーの開発の立ち上げを加速し、安定的に需要の拡大に対応していくためには、大規模な設備投資を適時に行うことが重要な課題だ。機動的かつ迅速な経営判断が可能となる体制の整備と資金調達手段の拡充を図り、事業のさらなる成長を実現するために分社化を決定した」と述べました。
そのうえで分社化して設立する新会社については「外部から資本を受け入れるならば20%未満にすることが基本的な考え方だ」と述べました。
また、綱川社長は、アメリカの原子力事業で巨額の損失を計上する見通しになったことについて、「今回のことについては責任を大きく感じている。進退、去就については指名委員会に判断を委ねるというのが基本だ。資本増強については3月までに対応していくので、それは責任を持って遂行していきたい」と述べました。
さらに、アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになったことについて「投資家の皆様、関係者の皆様に急な心配を与えて大変申し訳ないことだと思っています。また東芝の事業や技術を信頼してくれたお客さまに不安を与えたことを申し訳なく思っています」と述べ、陳謝しました。
綱川社長は、巨額の損失につながった海外での原子力事業について、「建設工事を含めて受注するのか、タービンなどの機器設備の納入だけを行うのかということも含めて、変えることになると思う。新規の受注計画に関しては考え直すということであり、受注目標の具体的な数字については次の中期経営計画の策定に向けた議論の中で考えている」と述べました。
-- NHK NEWS WEB