国から障害基礎年金の支給を突然打ち切られた「1型糖尿病」の患者たちが対応が不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は「生活の安定を損なわせる重大な処分なのに理由を明らかにしない国の対応は違法だ」として年金の支給を打ち切った国の決定を取り消しました。
この裁判は、大阪や奈良に住む「1型糖尿病」の患者9人が起こしていました。
1型糖尿病は免疫の異常などで発症するとされる病気で、血糖値を下げるインシュリンの注射が欠かせず、多額の医療費を原告たちは障害基礎年金で賄っていました。
ところが3年前、国が理由を説明しないまま年金の支給を打ち切ったため、国の決定を取り消すよう求めていました。
これに対し国は裁判の中で「認定基準の変更に伴って支給の対象に該当しなくなった。受給者への通知は年間700万件に上り、個別に説明するのは困難だ」と主張していました。
11日の判決で大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は「障害基礎年金の受給者はそれを前提に生活を設計していて、年金の打ち切りは生活の安定を損なわせる重大な不利益処分だ。打ち切る場合はどのような症状や生活状況をみて判断したのか理由がわかるようにすべきなのに国の通知は結論のみの簡素なもので違法だ」として原告側の訴えを全面的に認め、年金の支給を打ち切った国の決定を取り消しました。
-- NHK NEWS WEB