マレーシアで、マハティール首相が凍結した中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一つでもある鉄道建設について、マレーシア政府は12日、建設費用を大幅に減額することで中国と合意したと発表しました。国際社会で「一帯一路」への懸念が高まる中での合意は、中国にとって大きな意味があると受け止められています。
マレーシア政府による鉄道事業「東海岸鉄道」は、マレー半島の東海岸沿いと、半島を東西に横断する全長約690キロの路線が計画されていて、中国企業が受注しておととし、建設が始まりました。
マレーシア政府は、建設や土地取得などにかかる費用の総額を日本円で約2兆円と見込んでいて、中国から融資を受けることになっていましたが、去年就任したマハティール首相は、費用がかかりすぎるとして事業を凍結しました。
そのうえで、中国側と費用の削減などについて協議を進めていましたが、マレーシア政府は12日、建設費を約5800億円削減することで合意したと発表しました。
費用削減の方法について、マレーシアの複数のメディアは「1キロ当たりの建設費を約30%減額する」と報じていますが、詳細は明らかになっていません。
マレーシアにとって、中国は最大の貿易相手国であるうえ、投資への期待も高く、良好な関係を維持したい思惑があると指摘されています。
一方で、国際社会で「一帯一路」への懸念が高まる中で、懸念を象徴する存在でもあったマレーシアの鉄道計画の1つが再開されることは、中国にとって大きな意味があると受け止められています。
-- NHK NEWS WEB