日本の科学研究の現状について研究者の評価を聞く、文部科学省の研究所の昨年度の調査結果がまとまり、研究費や人材など研究を支える環境に対して基礎研究を中心に危機感が広がっていることが分かりました。
これは文部科学省の科学技術・学術政策研究所が、日本の科学技術の現状を把握するため大学や企業などの研究者や有識者を対象に、3年前から評価を聞いているもので、10点満点で結果を示しています。
このほど昨年度の数字がまとまり、大学や公的な研究機関からは1916人の回答がありました。
このうち「国の科学研究費助成事業は、課題を積極的に探索し、挑戦することに十分寄与しているか」の設問に対しては、5.3点ともっとも高い評価となりました。
一方、「基礎研究から国際的に突出した成果が十分生まれているか」は3.7点と低く、3年前と比べても0.92ポイント悪化しました。
また、「イノベーションのもととなる基礎研究の多様性は十分確保されているか」も2.7点と低く、こちらも3年前と比べて0.61ポイント悪化しました。
悪化の理由としては「研究人材への報酬が少ない」や、「特定分野へ資金などが過度に集中している」といった意見がありました。
科学技術・学術政策研究所は「研究費や、研究時間、そして人材など研究を支える環境に対して基礎研究の分野を中心に危機感が広がっている」と分析していて、今後の対策が急務としています。
-- NHK NEWS WEB