建設現場でアスベストを吸い込んだ元作業員などが健康被害を受けたと訴えた裁判の2審の審理が東京高等裁判所で始まり、元作業員たちが被害の実情を訴えました。
神奈川県内の建設現場で働いていた元作業員や遺族、合わせて64人は、アスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして賠償を求めていて、1審の横浜地方裁判所は、国だけでなくアスベストを含む建材を製造していたメーカー2社に、合わせて3億円余りの支払いを命じました。
一方で、個人で仕事を請け負っていた、いわゆる一人親方については訴えを退け、双方が控訴しました。
15日、東京高等裁判所で始まった2審の裁判では、元作業員たちが意見を述べ、住宅の引き渡し前の清掃作業を個人で請け負っていた60代の女性が「同じアスベストの被害に遭っても、一人親方だけが救済されないのはおかしい」などと訴えました。
建設現場でのアスベスト被害をめぐっては、全国の地裁と高裁で争われ、国に対しては対策を怠ったとして、賠償を命じる判決が10件続いていて、国に救済策を求める声が上がってます。
また、建材メーカーの責任について、「警告表示をする義務を怠った」として認める判断が相次いでいて、メーカーの責任の範囲について、どのように判断するのかも注目されています。
-- NHK NEWS WEB