アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになった東芝は、海外で新規の原発の受注拡大を目指すとした計画を見直すことを明らかにしました。
東芝は先月、アメリカの子会社が手がける原子力事業で、数千億円規模の損失を計上する可能性があると発表し、原子力事業をどう立て直すかが焦点のひとつとなっています。
こうした中、東芝の綱川智社長は27日、開いた記者会見で、海外の原子力事業について「新規の受注計画を考え直す」と述べ、東芝が2030年度までに海外で目指している45基以上の原発の新規の受注計画について、見直しを進める考えを明らかにしました。
東芝は、アメリカで受注し、巨額の損失が明らかになった4基の原発でコストが大幅に拡大した理由について、東京電力・福島第一原発の事故のあと、原発の安全基準が厳しくなったことで設備や資材の費用が膨らんだためとしています。
記者会見で東芝は、建設コストの拡大が採算の悪化につながる新規の建設事業ではなく、原子炉などの設備の納入に限るといった、受注内容の見直しを進めると説明しています。そのうえで、東芝は、経営の管理体制を強化するため、原子力事業を社長直属の組織に改める方針です。
東芝は、こうした海外の原発事業の見直しについて、来月14日の決算発表で公表する事業計画の中に盛り込むことにしています。
記者会見で綱川社長は「海外事業は見直すが、国内事業は廃炉といった福島の原発事故の処理などいろいろあり、そこはきちんと責任をもってやり続ける」と述べました。
-- NHK NEWS WEB