アメリカのトランプ政権は23年前に成立した法律を初めて適用し、キューバ革命のあと資産を接収されたアメリカ国民がその資産を使う外国企業に賠償を求められるようにすると発表しました。キューバがベネズエラのマドゥーロ政権を支えているとして圧力を強めるねらいですが、各国が「国際法違反だ」と反発し、波紋が広がっています。
アメリカのポンペイオ国務長官は17日、記者会見し、キューバ革命のあと資産を接収されたアメリカ国民がその資産を使う企業や個人を相手取って賠償を求められるようにすると発表しました。
アメリカ政府によりますと、接収された資産は少なくとも6000件近くあり、合わせて80億ドル(およそ9000億円)に上るとみられ、訴訟の対象にはキューバに投資している外国企業も含まれます。
賠償を求める訴訟は23年前の1996年に成立した国内法で認められていますが、歴代の政権は各国の反対などに配慮して適用を見送ってきました。
今回初めて適用に踏み切った理由についてポンペイオ長官は「ベネズエラのマドゥーロ政権を支えているのはキューバだ。キューバとの緊張緩和は失敗に終わった」と述べて、圧力を強めていく考えを示しました。
これに対し、キューバに企業が進出しているカナダとEU=ヨーロッパ連合は共同声明を出し「アメリカの国内法を一方的に適用するのは国際法違反だ」と反発し、波紋が広がっています。
-- NHK NEWS WEB