アメリカの原子力事業で巨額の損失が明らかになった大手電機メーカー東芝は、半導体と原子力の2つの主力事業を抜本的に見直すことで経営再建に向けた対応策の検討を急ぐ方針で、まずは、ことし3月までに財務基盤の強化を着実に進めることができるかが課題となります。
東芝はアメリカで手がける原子力事業で数千億円規模の損失を計上する可能性があり、経営の再建が急務となっています。
27日行った記者会見で、財務基盤を強化するため半導体と原子力の2つの主力事業について抜本的に見直すことを明らかにしました。
具体的には、半導体事業を分社化したうえで新会社に他社から出資を受け入れること、さらに、海外の原子力事業で新規の建設の受注拡大を目指さないなどとしています。
このうち、記憶用の半導体、フラッシュメモリーの事業の分社化にあたっては、負債が資産を上回る債務超過を回避するために年度末となることし3月末までに出資を受け入れて資金を集める必要があります。
今後、メーカーや投資ファンドとの間で具体的な交渉に入りますが、技術の海外流出の懸念や経営方針の温度差なども予想され、出資をあおぐ企業の選定には慎重な判断も求められます。
一方、原子力事業では、原発の安全基準の強化を背景に世界的に建設コストが上昇していて、今回、巨額損失の原因となったアメリカの4基の原発の建設事業だけでなく、事業全体で採算性を改善させることが課題です。
東芝は、来月14日の決算発表で公表する事業計画の中で、経営再建に向けた具体的な道筋をどうつけるかが問われることになります。
-- NHK NEWS WEB