排出した二酸化炭素に価格をつけて、企業や家庭に排出量に応じたコストを負担してもらう「カーボンプライシング」と呼ばれる制度について議論する、初めての会合が開かれ、国内で本格的に導入するための課題について、今後、検討を進めることになりました。
カーボンプライシングは地球温暖化対策を進めるため、排出した二酸化炭素に価格をつけて、排出量に応じたコストを負担してもらうもので、このうち、企業が排出できる二酸化炭素の量に上限を設け、過不足分を別の企業と売り買いできる排出量取引制度は、国内で導入されているのは、東京都など一部の自治体にとどまっています。
また、排出量に応じて課税する炭素税は、石油や石炭などに課税する地球温暖化対策税が5年前から導入されていますが、ほかの国に比べると税率は低くなっています。
このため、環境省は27日、専門家による初めての会合を開き、カーボンプライシングを本格的に導入するための課題について、検討を始めました。
会合では、環境省の担当者などから炭素税がヨーロッパを中心に導入され、多くの国で高い税率をかけても、経済の成長は続いていることが報告されたほか、7年前に排出量取引制度を導入した東京都の担当者からは、企業に自主的に進めるよう呼びかけていた頃よりも、制度を導入したあとのほうが排出量の削減が大幅に進んだことが報告されました。
環境省は今年度末まで会合を開き、課題について、さらに検討を進めることにしています。
委員を務める京都大学大学院の諸富徹教授は「温室効果ガスの削減のためにカーボンプライシングは必要だが、国民の理解が広がらないと導入できないので、経済への影響などについても検討していきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB