アメリカで薬物のまん延が社会問題となるなか、検察当局は、医療用の鎮痛剤として開発された薬物が不正に使用される可能性を認識しながら販売を続け、まん延を助長したとして大手販売会社の元幹部を訴追しました。
アメリカの検察当局は23日、ニューヨーク州に本社がある薬の大手販売会社の元CEOが「フェンタニル」と呼ばれる薬物などが不正に使用される可能性を認識しながら販売を続けたとして、麻薬法違反などの疑いで訴追したと発表しました。
「フェンタニル」はもともと医療用の鎮痛剤として開発されましたが、一時的に高揚感が得られることから、医療目的以外で使用し、中毒になる人が急増しています。
検察当局によりますと、元CEOは販売先の業者が薬物を不正に横流ししているという情報が社内で共有されていたにもかかわらず、販売を続けるよう指示していたということです。
また、フェンタニルの販売は2016年までの4年間に急激に増えていて「中毒者の増加を防ぐよりもみずからの利益を優先させた」と指摘しています。
薬物中毒のまん延を助長したとして薬の販売元が刑事責任を問われるのは初めてだということで、検察当局は「アメリカを破壊している薬物のまん延と闘うため、路上の密売人から違法に販売する会社の幹部まで摘発に全力を尽くす」としています。
アメリカでは、薬物の過剰摂取による死者は交通事故や銃による死者を上回る年間7万人以上にのぼり、深刻な社会問題になっています。
-- NHK NEWS WEB