国が年金の支給額を引き下げたのは、健康で文化的な生活を保障した憲法に違反するとして、年金を受給している北海道の620人余りが国を訴えた裁判で、札幌地方裁判所は「年金制度のみで最低限度の生活を保障しているものではない」などとして訴えを退けました。
国民年金や厚生年金の支給額は、物価が下落した時期にも据え置かれましたが、この特例措置が解消され、6年前から引き下げられました。
これについて、北海道に住む年金を受給している629人が「健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法に違反する」として引き下げの取り消しを求めていました。
26日の判決で、札幌地方裁判所の岡山忠広裁判長は「年金制度のみで最低限度の生活を保障しているものではなく、国の裁量権の著しい逸脱や濫用はない」などとして、憲法に違反しないという判断を示し、訴えを退けました。
原告側の弁護団によりますと、同様の訴えはこれまでに全国の39の裁判所で起こされていますが、判決が言い渡されたのは初めてだということです。
判決のあとの報告集会で弁護団長の佐藤哲之弁護士は「著しく不当な許されない判決だ」と述べ、控訴する考えを示しました。
一方、厚生労働省年金局は「国の主張が認められたものと受け止めている」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB