中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際フォーラムが閉幕し、習近平国家主席は、中国の巨額の融資で対象国の債務が深刻化しているという懸念を念頭に、国際的なルールに基づいて構想を前進させる考えを強調し、今後、国際社会の懸念をいかに払拭(ふっしょく)できるかが課題となります。
「一帯一路」は、習近平国家主席が提唱したアジアとヨーロッパをつなぐ巨大な経済圏構想で、27日まで3日間にわたって北京で開かれたフォーラムには、38か国の首脳級を含む150余りの国の代表などが参加し、日本からは自民党の二階幹事長が出席しました。
閉幕にあたって記者会見した習主席は「『一帯一路』の構想が始まって5年余りの間に貿易や投資の協力は新たな段階に進み、各国や世界経済の成長のための空間を切り開いてきた」と述べました。そして、フォーラムの期間中に各国の企業関係者の間で640億ドル余り、日本円で7兆1000億円に上る事業の協力で合意したことを明らかにして成果を強調しました。
閉幕後には会議の成果に関する共同声明も発表され、保護主義や単独主義に反対すると表明して、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権をけん制したほか、第三国市場の開拓などの協力を進めていくことを明確にしました。
一方、「一帯一路」をめぐっては中国の巨額の融資で対象国の債務が深刻化しているという懸念が寄せられていて、声明では、財政や金融などの持続可能性を重視することが盛り込まれました。
習主席は「われわれは持続可能で普遍的に受け入れられる国際的なルールを実践していくことで同意した」と強調し、中国としては今後、国際社会の懸念をいかに払拭できるかが課題となります。
-- NHK NEWS WEB