各地で土砂災害が頻発する一方で、調査を行って対策を助言する研究者は減少し、このままでは土砂災害への対応が立ち行かなくなるおそれが出てきました。学会や国土交通省などは研究者を確保するための方法を検討していくことにしています。
国土交通省によりますと、去年1年間、西日本豪雨などの大雨や地震などで発生した土砂災害は、全国でおよそ3500件に上り、昭和57年に統計を始めてから最も多くなりました。
しかし、専門家などで作る「砂防学会」によりますと、土砂災害の現場を調査して国や自治体に対策を助言する大学の研究者は年々減少し、去年の時点では47人にとどまっているということです。
これは、大学での研究者のポストが減ったことで、若い世代の人が研究者にならずに民間企業に就職することが多いことなどが原因とみられ、20年後には30人弱まで減少する見込みです。
すでに、土砂災害に遭った自治体では研究者を確保できず苦労するケースが出ているということで、このまま減少が続けば、多発する土砂災害への対応が立ち行かなくなるおそれがあるということです。
このため砂防学会は、国土交通省や自治体と連携して、若い世代にも研究の重要性を積極的に発信するほか、民間企業に就職した人材を活用する枠組みを作るなどして、研究者を確保する方法を検討していくことにしています。
-- NHK NEWS WEB