太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判で、原告側が差し押さえていた日本企業の株式を売却する手続きに踏み切ったことについて、韓国のカン・ギョンファ(康京和)外相は、司法の判断を尊重するという従来の姿勢を改めて示し、対応策について具体的な言及は避けました。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判では、被告の日本企業が賠償に関する協議に応じていないことから、原告側は1日、すでに差し押さえていた日本企業の株式を売却する手続きを行ったと発表しました。
これについて、韓国のカン・ギョンファ外相は2日に開いた記者会見で、「国民がみずからの権利を行使している段階で、政府は介入しない」と述べ、司法の判断を尊重するという従来の姿勢を改めて示しました。
また、この問題をめぐり、日本政府は、韓国政府に日韓請求権協定に基づく協議を求めていますが、カン外相は「多様な対応策を準備しているが、政府として対外的に発表できる時期ではない」と述べるにとどまり、具体的な言及は避けました。
カン外相は、天皇陛下の即位に関連して、「新しい時代を迎えた日本と、歴史を直視しながら未来志向的な関係の発展を推し進めていく」と述べましたが、「徴用」をめぐる問題に加え、慰安婦問題や福島県産などの水産物の輸入禁止措置といった多くの課題がある中、日韓関係が好転するめどは立っていません。
-- NHK NEWS WEB