福島県産の海産物について、NHKと東京大学などが水産関係の流通業者に実施したアンケートで「購入したくないと思っている人の割合はどれくらいだと考えているか」尋ねたところ、「50%以上」と答えた業者が半数以上に上りました。専門家は、流通業者が福島県産を避ける人の割合を実際より多く見積もっている可能性があり、業者に対しても検査態勢などを周知する必要があると指摘しています。
NHKと東京大学、それに福島大学はことし3月から4月にかけて、福島県内のほか東京・大阪・名古屋・仙台の水産関係の流通業者871社にアンケートを行い、全体の20%にあたる178社から回答を得ました。
このうち、現在「福島県産の海産物について購入したくないと思っている人の割合はどれくらいだと考えているか」尋ねたところ、この質問に答えた140社のうち、「50%以上」と答えた業者が76社で半数以上に上りました。
内訳をみますと、「50%以上60%未満」が33社で最も多く、次いで「30%以上40%未満」が25社、「80%以上90%未満」が13社などと続き、「20%以上」と回答した会社は合わせて125社で全体の9割近くを占めました。
東京大学が去年12月に消費者に行ったアンケートでは、「購入したい」が27%、「どちらともいえない」が59%、「購入したくない」が14%だったことから、調査を行った関谷直也准教授は「福島県産を買いたくないと思っている消費者の割合を流通業者が実際より多く見積もっている可能性がある」と指摘しています。
また調査では、福島県産の海産物の取り扱いをめぐって業者が受けた要望や検査態勢への理解度についても尋ねています。
このうち「この3年間で福島県産を取り扱わないでほしいという要望はあったか」尋ねたところ、31%にあたる55社が取引先から、19%にあたる33社が消費者から、そうした要望や意向を感じたと答えました。
さらに福島県が海産物の放射性物質の検査を行っていることを知っているか尋ねたところ、県内の会社の93%が「知っている」と回答した一方、県外の会社では「知っている」が28%、「聞いたことはあるが詳しくは知らない」が44%、「知らない」が21%でした。
関谷准教授は「福島県産を避ける雰囲気が業者の間にも残っていることがうかがえる。検査で放射性物質が検出されるケースがほとんど出ていないことなど、もっと周知する必要がある」と話しています。
-- NHK NEWS WEB