アメリカのトランプ政権が中国からの輸入品に対する関税を引き上げる制裁強化に踏み切ったことを受けて、台湾の蔡英文総統は、中国大陸に進出する台湾企業に対して、生産拠点を地元に移すよう呼びかけました。
台湾の蔡英文総統は10日、記者会見し、多くの台湾企業が、受注した製品を進出先の中国大陸の工場で生産していることを踏まえ、アメリカのトランプ政権が中国からの輸入品に対する関税引き上げに踏み切ったことへの対応策を検討したことを明らかにしました。
そのうえで「台湾で受注して中国大陸で製造し、アメリカに輸出するという三角貿易のモデルも変わる。付加価値の高い産業を再建し、中国製にとってかわる高品質の台湾製品をアメリカに輸出する」と述べて、中国大陸に進出する台湾企業に対して、生産拠点を地元に移すよう呼びかけました。
米中の貿易摩擦を受けて、中国大陸に進出する台湾企業が工場の一部を台湾に移す動きが活発になっていて、台湾当局によりますと、ことしに入って台湾企業52社が地元で新たに投資することになり、投資総額は2795億台湾元、日本円で1兆円近くに上り、2万7000人を超える雇用の創出につながると見込まれています。
蔡総統としては、米中の貿易摩擦を機に台湾企業の地元回帰を促して産業の強化につなげ、貿易摩擦の影響を食い止めたいねらいがあるとみられます。
-- NHK NEWS WEB