米中の貿易摩擦が激しくなる中、アメリカは中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きに入りましたが、今回の関税上乗せの対象に中国で生産されているスマートフォンが含まれたため、アメリカのアップルの業績の先行きに懸念が広がっています。
アップルは、売り上げの50%余りを占めるiPhoneのデザインや設計は本社のあるカリフォルニア州で行なっていますが、組み立ては中国で行っています。
アメリカの大手金融機関モルガン・スタンレーの試算によりますと、去年秋に発売された、価格が999ドルの「iPhoneXS」の場合、アップルが25%の関税をすべて価格に転嫁すると160ドルの値上がりになるということです。率にして16%の値上げにあたります。
また仮にアップルが価格に転嫁せず関税の負担を自社でかぶれば、利益が圧縮されて大幅な業績悪化が避けられないとしています。
影響を見越して、アップルの株価は13日、大きく値下がりしました。
アップルは、去年9月にアップルウォッチが関税上乗せの対象にあがった際、アメリカ通商代表部に書簡を送り、「アメリカの経済成長や競争力の低迷につながり、消費者には値上げをもたらす」と訴え、対象から外すよう求めました。結果的に、この時は関税の対象から外れました。
アップルによりますと、iPhoneとiPadには日本企業の電子部品などが多く使われ、去年は日本企業900社以上と取り引きしたということです。このため関税が上乗せされれば、日本企業の業績にも打撃となりかねません。
-- NHK NEWS WEB