韓国の原子力安全委員会は、南西部の原子力発電所で原子炉の出力が制限値を超えたにもかかわらずおよそ11時間半にわたって運転を停止させなかったとして、運営会社に対して原子炉の使用停止を命じ、違法な運転の原因について捜査を進めています。
韓国の原子力安全委員会によりますと、今月10日午前、南西部チョルラ(全羅)南道の黄海に面したハンビッ原子力発電所1号機で、定期検査の過程で、無資格の職員が原子炉の制御棒を抜く操作を行ったところ出力がすぐに制限値の5%を超え、一時は最大で18%まで上昇したにもかかわらず、その後およそ11時間半にわたって原子炉を停止させなかったということです。
委員会によりますと、原子炉から放射性物質の漏えいはなく、出力も制限値を超えたあとすぐに制御棒が戻され制限値以下に下げられたということです。
今回の措置について韓国水力原子力はNHKの取材に対し「原子炉は出力が25%になれば自動的に停止するよう設計されている」として、安全性に問題はなかったと強調しています。
しかし原子力安全委員会は、安全措置の不足や原子力安全法の違反が確認されたとして、20日、運営会社である韓国水力原子力に原子炉の使用停止を命じ、捜査権のある委員会の職員が当時、どのような監督体制のもとで制御棒の操作が行われていたのかなど捜査を進めています。
韓国のメディアは重大な事故につながるおそれがあったとして、再発の防止と徹底した捜査が必要だと報じています。
-- NHK NEWS WEB