太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判で、韓国政府が原告側に対して、差し押さえていた日本企業の資産の売却手続きを先送りできないかと打診したものの、原告側が受け入れず、働きかけが不調に終わっていたことが分かりました。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判では、原告側が今月1日、日本企業が賠償に関する協議に応じないとして、すでに差し押さえていた日本企業の資産を売却する裁判所への手続きを始めました。
これに関連して、原告側の関係者はNHKの取材に対し、手続きを行う前日の先月30日に、韓国大統領府と外務省の担当者がそれぞれ原告側に連絡し、手続きを先送りできないかと打診してきたことを明らかにしました。
ただ、原告側は、手続きを行うことはすでに決めたことだとして受け入れず、働きかけは不調に終わりました。
一方、先週には、韓国大統領府の高官が原告側関係者と初めて直接会い、今後の方針や法的な手続きについて聞き取ったということです。
韓国政府としては、原告側とのやり取りを通じて日韓関係改善の糸口を見いだすとともに、来月開かれるG20大阪サミットに合わせ、日韓首脳会談の開催につなげたい思惑もあるとみられます。
ただ、今週、日本政府は、韓国政府に対して日韓請求権協定に基づき第三国を交えた仲裁委員会を開くよう求めていて、双方の立場の隔たりは埋まっていません。
日本と韓国は日本時間の23日夜、フランスのパリで外相会談を行う予定で、「徴用」をめぐる問題についても協議する見通しです。
-- NHK NEWS WEB