アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会は、前回の会合の議事録を公表しました。トランプ大統領が金利の引き下げを求める根拠としていた物価の伸びが鈍っていることについては、一時的な要因によるものだとして当面、金利は変更せず、経済指標を見極めていく姿勢が適切だという判断を示しました。
アメリカの金融政策をめぐっては、トランプ大統領が、物価の伸びが鈍っていることを踏まえ、FRBに対して金利の引き下げを繰り返し求め、物価の動向が焦点の1つになっています。
FRBは、今月1日まで2日間開かれた金融政策を決める会合の議事録を公表し、この中で、会合の参加者の多くが「最近の物価の伸びの鈍化は、衣料品価格の下落など一時的な要因によるものだとみられる」と指摘しました。
ただ、物価の上昇が弱まっている状況では、世界経済や株式市場が上向いたとしても、当面、金利は変更せず、経済指標を見極めていく姿勢が適切だという判断を示しました。
一方、この会合では多くの参加者が、世界経済の先行きや米中の貿易交渉をめぐるリスクは弱まったと指摘していました。
ところが実際には、この会合のあと米中両国が互いの輸入品に関税をかけ合う対立が激しくなっていて、今後、FRBが貿易摩擦の長期化による経済への影響をどのように分析するか注目されます。
-- NHK NEWS WEB