証券最大手の「野村ホールディングス」は東京証券取引所で議論されていた市場区分の見直しをめぐる情報を不適切に投資家に伝えていた問題で、責任を明確にするため社長の報酬返上などの社内処分を発表しました。
発表によりますと、ことし3月にかけて東証の有識者懇談会で議論されていた市場区分の見直しをめぐって、野村証券の社員が懇談会の委員から聞いた情報を不適切に機関投資家に伝えていたということです。
伝えられたのは、東証1部の基準が時価総額250億円以上に見直される可能性が高まっているという趣旨で、その後も決まってはいませんが、企業の株価に大きな影響を及ぼす可能性がありました。
野村ホールディングスは市場の公正性を確保するという証券会社の役割について社員の意識が不十分だったとし、責任を明確にするため永井浩二社長が月例報酬の30%を3か月間、返上するなどの社内処分を発表しました。
野村は7年前にも社員がインサイダー取引に関わる事件を起こしていて、記者会見で永井社長は「最重要課題として倫理教育の徹底を図ってきたが十分に浸透していなかったことは極めてゆゆしき問題だ。改善策を着実に実行し、信頼回復に全社をあげて努めて参りたい」と述べました。
この問題について金融庁はインサイダー取引にはあたらないものの情報管理体制などに問題があったとして、業務改善命令の検討を進めています。
-- NHK NEWS WEB