安倍総理大臣はアメリカのトランプ大統領と11回目の首脳会談に臨み、両首脳は、日米の新たな貿易交渉の議論をさらに加速させることで一致しました。また、安倍総理大臣が北朝鮮による拉致問題の解決に向けて前提条件を付けずに日朝首脳会談の実現を目指す決意を重ねて示したのに対し、トランプ大統領は全面的に支持する考えを示しました。
安倍総理大臣は、日本を訪れているアメリカのトランプ大統領と東京・港区元赤坂の迎賓館で、およそ2時間半にわたって首脳会談を行いました。
会談の冒頭、安倍総理大臣が、日米同盟の絆が強固であることを内外に示したいという考えを示し、トランプ大統領は、日米の新たな貿易交渉について、「おそらく8月によい内容を発表できると思っている」と述べました。
また、緊迫するイラン情勢に関して、「誰も恐ろしいことが起こるのを見たいとは思っていない」などと述べ、日本の仲介に期待を示しました。
そして会談で両首脳は、平和安全法制をはじめとする日米同盟強化に資する取り組みや、両首脳の個人的な信頼関係により、日米同盟は史上かつてなく強固で、世界で最も親密な同盟だという認識で一致しました。
また、日米の新たな貿易交渉をめぐり、安倍総理大臣がトランプ大統領が就任して以降の日本企業のアメリカへの投資状況などを説明し、その貢献に理解を求めたのに対し、トランプ大統領は評価する考えを示しました。
そのうえで両首脳は、去年9月の日米共同声明の内容に沿って閣僚間の協議が進んでいることを歓迎したうえで、日米双方の利益になる形での早期の成果達成に向けて議論をさらに加速させることで一致しました。
また、北朝鮮への対応をめぐり、両首脳は、最新の情勢を踏まえた今後の方針について綿密なすり合わせを行い、国連の安保理決議に基づく制裁措置の完全な履行を含めて、日米両国の立場が完全に一致していることを確認しました。
そして安倍総理大臣が、拉致問題の解決に向けて、「キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と直接向きあい、率直に虚心たん懐に話をしたい」と述べ、前提条件を付けずに日朝首脳会談の実現を目指す決意を示したのに対し、トランプ大統領は全面的に支持する考えを示しました。
米中の貿易問題をめぐっては、トランプ大統領が中国に対する関税の上乗せ措置について説明したのに対し、安倍総理大臣は、米中交渉が継続していることを支持するとしたうえで、「建設的な形で問題解決が図られることを期待する」と述べました。
そのうえで、両首脳は、安全保障や経済分野を含め、中国政府と建設的な対話を継続することの重要性を確認しました。
さらに両首脳は会談で、来月開かれるG20大阪サミットの成功に向けて日米で緊密に連携していくことや、安全保障などの分野での宇宙協力を強化するとして、月探査に関する協力をめぐる議論を加速することなどで一致したほか、緊張が高まるイラン情勢を含む中東の情勢をめぐっても、首脳間で突っ込んだ議論が行われました。
一方、貿易交渉をめぐり、トランプ大統領が会談で、「おそらく8月によい内容を発表できる」と述べたことについて、西村官房副長官は記者団に対し、首脳間で一致している話ではないと説明し、安倍総理大臣も共同記者会見で言及しませんでした。
-- NHK NEWS WEB