太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判について、日韓関係への影響を懸念したパク・クネ(朴槿恵)前政権の意向を受け、最高裁判所の前長官が裁判に不当に介入したとして罪に問われている事件で、29日に初公判が開かれ、前長官は無罪を主張しました。
この事件は太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判について韓国の最高裁判所のヤン・スンテ(梁承泰)前長官が、日韓関係への悪影響を懸念するパク・クネ前政権の意向を受けて裁判に不当な介入を行ったとして職権乱用の罪などに問われているものです。
検察側はヤン前長官が日本企業に賠償責任を認める判決が出た場合の外交的、国際法的な問題点を強調し、裁判を遅らせる方法などに関する書類をつくるよう裁判所の職員に指示したとしています。
29日ソウル中央地方裁判所で開かれた初公判でヤン前長官は、「すべて根拠がなく、中には小説のような話もあり、すべて否認する。この裁判自体が不適切だ」と述べて、無罪を主張しました。
ムン・ジェイン(文在寅)大統領はこの裁判に関連して「事実ならば違憲にあたるため妥協することは容易ではない」と述べています。
判決の内容によってはこれまで「徴用」をめぐって対応策を明確にしてこなかった韓国政府の出方を左右する可能性もあります。
-- NHK NEWS WEB