おととし12月、相模原市の路上で会社員を刃物で刺して殺害したとして殺人の罪に問われた男性の裁判員裁判で、横浜地方裁判所は「男性が犯人であることについて合理的な疑いを挟む余地がない程度の立証がされていない」として、無罪を言い渡しました。
おととし12月、相模原市南区大野台の路上で、会社員の男性が胸などを刃物で刺されて死亡し、近くに住む大石明彦さん(41)が殺人の罪に問われました。
この事件では犯行に直接結び付く証拠が無く、裁判員裁判で被告側は一貫して無罪を訴えていました。
これに対して検察は「本人の眼鏡が現場に落ちていたほか、被害者の血の付いた自転車が被告のアパートに止めてあったことなどから、ほかに犯人はいない」として、懲役18年を求刑していました。
判決で横浜地方裁判所の田村政喜裁判長は「現場に本人の眼鏡が残されていたことは認められるものの、転んで落とすなどした可能性もあるほか、血の付いた自転車がアパートにあっても、ほかの人物が犯人である可能性も十分ある」と指摘しました。
そのうえで「男性が犯人であることについて合理的な疑いを挟む余地がない程度の立証がされていない」として、無罪を言い渡しました。
-- NHK NEWS WEB