アメリカのトランプ大統領は、メキシコとの国境を越えて入国する不法移民があとを絶たないのはメキシコの対応が不十分なためだとして、来月からメキシコから輸入されるすべての物品に5%の関税を上乗せすることを明らかにしました。日本の自動車メーカーは、メキシコをアメリカ市場向けの重要な生産拠点に位置づけているため、関税が上乗せされれば影響は避けられません。
メキシコはアメリカやカナダと3か国で自由貿易協定を結んでいて、メキシコで生産された自動車は一定の基準を満たせば、アメリカへの輸出の関税はゼロになります。
さらに、現地の賃金が安いことから日本の自動車メーカーは相次いで工場を建設し、アメリカ市場向けの重要な生産拠点になっています。
メーカー各社によりますと、トヨタ自動車は去年1年間にメキシコの工場で15万6000台を生産しているほか、マツダの工場でもトヨタブランドの車を3万4000台生産し、このうちおよそ90%をアメリカに輸出しています。
トヨタはピックアップトラックを年間10万台生産できる新工場を年内に稼働させ、主にアメリカ市場向けに輸出する予定です。
ホンダは14万7000台を生産し、およそ80%をアメリカに輸出しているほか、マツダも18万3000台を生産し、およそ30%を輸出しています。
日産自動車は76万8000台を生産していますが、アメリカへの輸出台数は公表していないということです。
メキシコ、アメリカ、カナダの3か国は去年、自由貿易協定の見直しに伴い、自動車の分野で関税をゼロにする条件として域内からの部品の調達率を引き上げました。
このためメーカー各社は部品の調達などの見直しを進めていますが、今回、関税が上乗せされることになれば、現地でのさらなる戦略の見直しを迫られる可能性も出てきます。
-- NHK NEWS WEB