相続税の節税が目的の養子縁組が無効かどうかが争われた裁判で、最高裁判所は、主な目的が節税でも直ちに無効にならないという初めての判断を示しました。養子縁組は富裕層の間で節税の手段として広がっていて、31日の判決は現状を追認する形となりました。
4年前に82歳で亡くなった福島県の男性は、孫にあたる長男の息子と生前に養子縁組をしていましたが、男性の死後、遺産をめぐって娘2人が長男側と争いになり、「養子縁組は無効だ」と訴えました。
孫を養子にした目的の1つは相続人の数を増やして相続税が非課税になる控除の額を増やすことで、裁判では、無効になるような形だけの養子縁組だったのかどうかが争われました。
1審の東京家庭裁判所は養子縁組を有効としましたが、2審の東京高等裁判所は「実際に養子にする意思がなかったことは明らかだ」として無効としていました。
31日の判決で、最高裁判所第3小法廷の木内道祥裁判長は、節税の目的があるからといって養子縁組の意思がないとは限らず、主な目的が節税でも直ちに無効にならないという初めての判断を示しました。
そのうえで、今回のケースでは縁組の意思がないことをうかがわせる事情はないとして有効と判断しました。
大手税理士事務所によりますと、養子縁組は富裕層の間で節税の手段として広がっているということで、31日の判決は現状を追認する形となりました。
-- NHK NEWS WEB