安倍総理大臣は、参議院予算委員会で、来月10日に行われるアメリカのトランプ大統領就任後初めての日米首脳会談では、日本企業が雇用などでアメリカ経済に貢献している現状を説明し理解を求めていく考えを示しました。また、日米同盟をめぐって、日米安全保障条約に基づくアメリカの防衛義務に変わりはないことを確認したいという考えを示しました。
この中で、公明党の山本参議院副会長は、アメリカのトランプ大統領が自動車メーカーにアメリカ国内への投資を求めていることに関連し、「日本企業の活動が阻害されないよう後押しが必要だ。来月10日の日米首脳会談では、国益をしっかり踏まえて話をしてほしい」と求めました。
これに対し、安倍総理大臣は「アメリカに投資し、100万人以上の雇用を自動車だけで作っていることも説明し、『ウィンウィン』の関係で、一方が利益を得ているだけではなく、お互いにひ益していることをしっかり説明しながら、反論すべきところはしっかり反論していきたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、日米同盟をめぐって、「アメリカのみがアジア太平洋地域においてプレゼンスを確保でき、日本を守ることができることを確認するうえでも、来月10日の首脳会談が重要だ」と述べました。
そして、安倍総理大臣は「アメリカの日本に対する防衛義務を定めた日米安全保障条約の5条が極めて重要だ。いざという時に、アメリカ軍が来援して共同対処するという基本は変わらないと改めて確認し、世界に示す会談にしたい」と述べました。
共産党の田村副委員長は、大手広告会社、電通の新入社員だった女性が過労のため自殺した問題を踏まえ、「労働者が過労によって病み、命を落とす事態を防ぐためには、労働時間を適正に管理する責任を企業に徹底することなどが必要だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は、過労死の防止に向けて、自己申告した労働時間とタイムカードなどの記録に著しいかい離があった時には実態調査を実施することや、使用者側が自己申告できる労働時間に上限を設けないことなどを盛り込んだ、新たな指針を厚生労働省が策定したことを明らかにしました。
そして、「労働時間の適正な管理の徹底を図り、引き続き長時間労働を無くし、過労死の悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意で、あらゆる手段を講じていく」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、長時間労働の是正に向け導入を目指している罰則つきの時間外労働の上限について、「上限を何時間にするかがいちばん大切であり、法案の中にきっちりと定める。ただ、さまざまな職場があり、繁忙期があって注文が集中し、この時に片付けなければいけないということもある。誰に対して何時間の上限とするかを決めるにあたっては、いわゆる過労死基準をクリアするといった健康の確保を図ることが前提だ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB