史上初めてのアメリカと北朝鮮の首脳会談から1年となる中、北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルの製造拠点とされる施設で建物を増築していたことがわかり、アメリカの専門家は大量破壊兵器の開発を続けていると指摘しています。
NHKは、衛星を運用するアメリカの民間会社「プラネット社」と北朝鮮の核問題を研究するミドルベリー国際大学院の専門家の協力で、北朝鮮の核やミサイルの関連施設の衛星写真を分析しました。
このうち首都ピョンヤン近郊のサヌムドンという地区にあるICBMの製造拠点とみられる施設を、去年6月の初めての米朝首脳会談の直前に撮影した写真と、ことし3月に撮影した写真を比較したところ、建設中だった大型の建物が完成し、複数の建物を増築しているのが確認できます。
また、施設では車両の動きも確認され、ミドルベリー国際大学院のシュマーラー上級研究員は、北朝鮮がミサイルの製造能力を拡大させ現在も施設を稼働させている可能性がある、と指摘しています。
また北朝鮮の核開発の拠点とされるニョンビョン(寧辺)の施設について、ことし2月の2回目の米朝首脳会談の直前と先月28日の写真を比較した結果、原子炉の冷却水を取り込むポンプの周辺の土砂の形状が変化していることが確認できます。
これについてシュマーラー研究員は、冷却水を取り込むために川のしゅんせつを行っていた可能性があり、原子炉をいつでも稼働できる状態を保っているのではないかとしています。
これらの状況からシュマーラー研究員は「北朝鮮はいかなる能力も放棄しておらず大量破壊兵器の開発を続けており、2017年時点の能力を維持している」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB