6兆円余りを投じて海外の製薬大手を買収した「武田薬品工業」の株主総会が今月開かれるのを前に、創業家出身の株主らが、巨額の損失が出た場合などに役員報酬を返還させる制度の導入を求めた株主提案に賛同を呼びかけました。
武田薬品は、ことし1月、およそ6兆2000億円を投じてアイルランドの製薬大手「シャイアー」を買収し、関連の費用を計上することなどから、来年3月期の決算で最終損益が3830億円の赤字になる見通しです。
12日は、この買収に反対していた一部の株主で作る団体が都内でセミナーを開き、今月27日に開かれる株主総会で、巨額の損失が出た場合などに経営陣の役員報酬を会社に返還させる制度を導入するよう、株主提案したことを説明し、賛同を呼びかけました。
この制度は投資による巨額損失や不祥事などで業績が悪化した際に適用されるもので、経営の健全性が保たれるとして、欧米の企業を中心に導入が広がっています。
創業家の1人で、団体の代表代行を務める武田和久氏は、「3年後や5年後といった将来が非常に不安なので新たに制度を提起した。グローバル企業として必要性を考えてもらいたい」と話していました。
これについて武田薬品は、取締役の権限や意思決定を制限しかねないなどの理由で反対の姿勢を示しています。
-- NHK NEWS WEB