老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会がまとめた報告書について、NHKの日曜討論で与党側は「内容が不正確だ」として、国民の不安を払拭(ふっしょく)するため説明を尽くす考えを示しました。一方、野党側は報告書を受け取らないとした麻生副総理兼金融担当大臣の対応は前代未聞だなどと批判しました。
自民党の田村政務調査会長代理は「的外れで、国民の意識からかい離している報告書だ。不正確なデータで、麻生大臣もおわびを申し上げた。十分に説明させてもらい、国民に不信・不安を持っていただかないよう、しっかりと対応していきたい。報告書を受け取るのがいいか受け取らないのがいいか、議論はあると思うが、なぜこういうことに至ったのか説明していかなければならない」と述べました。
公明党の石田政務調査会長は「平均ということで出したが、実は誰にも当てはまらないのではないかというきらいがある。1人1人の人生の問題と、年金の制度を100年間保っていくことが混同されていて、不要に不安感があおられているのではないか」と述べました。
立憲民主党の逢坂政務調査会長は「麻生大臣の対応は前代未聞だ。自分の意に沿わない報告書は受け取らないということが広まってしまったら、審議会はそんたくするようになってしまう。大臣が受け取らなくても公文書として残るので、どう活用するのかという説明責任から逃れることはできない」と述べました。
国民民主党の泉政務調査会長は「報告書の内容をむしろ政策に反映させないといけない。老後に不安を感じている方々がほとんどで、『公的年金だけでは暮らしていけないだろう』というところに政治はスポットを当て、議論を真剣に始めないといけない時期が来ている」と述べました。
共産党の笠井政策委員長は「100年安心などと年金給付を減らし続けてよいのかということが問われている。マクロ経済スライドを廃止し、減らない年金にするとともに、負担の在り方を見直し、大企業と富裕層に応分の負担を求めるべきだ」と述べました。
日本維新の会の浅田政務調査会長は「貯蓄は人によっていろいろ違いがあり、賄える人も賄えない人もいる。この際、改めて、年金制度を含め、老後をどう暮らしていくのかということを考えるきっかけにすべきだった」と述べました。
社民党の吉川政策審議会長は「結果的に国民はだまされたのかという思いが非常に強いと思う。不安を解消するためにも、年金の財政検証を早急に国会開会中に出してもらいたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB