2050年に向けた地球温暖化対策の新たな長期戦略を検討している環境省は、太陽光や風力による発電など温室効果ガスの排出量が少ないいわゆる「低炭素電源」で国内の発電量の90%以上を賄うべきだとする提言を、戦略の案に盛り込む方針を固めました。
去年発効した地球温暖化対策の新たな枠組み、「パリ協定」では、2050年に向けた温暖化対策の新たな長期戦略を3年後までに国連に提出するよう各国に求めています。
この長期戦略について、環境省と経済産業省は、それぞれ有識者の委員会を立ち上げ、検討していますが、このうち環境省は、国内の発電量の90%以上を、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーや、原子力発電など温室効果ガスの排出量が少ないいわゆる「低炭素電源」で賄うべきだとする提言を、戦略の案に盛り込む方針を固めました。
政府がおととし策定した2030年に向けた温室効果ガスの削減目標では、国内の発電量の40%余りを低炭素電源で賄うとしていて、環境省は、今回の提言でその割合を大幅に増やすことにしています。
このため、石油や石炭などの化石燃料に課税する「炭素税」や、企業が排出できる二酸化炭素の量に上限を設け過不足分を別の企業と売り買いできる「排出量取引制度」などの新たな制度の本格的な導入を検討すべきだとする指摘も、合わせて盛り込むことにしています。ただ、こうした制度の導入には、鉄鋼や電力など化石燃料を多く消費する業界団体が強く反発していて、今後、調整が難航することも予想されます。
-- NHK NEWS WEB