FX取引で損失を出した複数の顧客の損失補填(ほてん)を行った疑いがあるとして、東京地検特捜部は、「東郷証券」の実質的経営者らを金融商品取引法違反の疑いで逮捕しました。この経営者は、ドラフト1位でプロ野球・巨人に入団した元投手で、特捜部は資金の流れの実態解明を進めています。
逮捕されたのは、東京 港区にある「東郷証券」の実質的経営者で,
役員の林泰宏容疑者(58)や、代表取締役の宇佐見麻己容疑者(46)ら4人です。
東京地検特捜部によりますと、林役員は、3年前からことし1月にかけて、外貨を売買するFX取引で損失を出した8人の顧客に対し、合わせて6900万円分の損失補填を行ったとして、金融商品取引法違反の疑いが持たれています。
関係者によりますと、林役員らは、一部の顧客にFX取引のリスクを十分説明しないまま営業活動を行い、損失が出て苦情を申し立てた顧客に対し、損失補填を行っていた疑いがあるということで、補填の資金は架空の外部委託費を計上して捻出していた疑いがあるということです。
林役員は、昭和54年にドラフト1位でプロ野球・巨人に入団した元投手で、引退後に証券業界に転身し、「東郷証券」を実質的に経営していました。
損失補填は、バブル崩壊後に大手証券会社などが行っていたことが発覚し、社会問題になりましたが、近年の証券業界で損失補填の疑いが明らかになるのは異例です。
特捜部は、証券取引等監視委員会と連携し、資金の流れの実態解明を進めています。特捜部は林役員らの認否を明らかにしていません。
東郷証券は、NHKの取材に対し「コメントできない」としています。
-- NHK NEWS WEB