去年6月以来1年ぶりとなる党首討論が行われ、安倍総理大臣は衆議院の解散について「『解散』ということばは、頭の片隅にもない」と述べました。また老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の報告書などをめぐり、立憲民主党の枝野代表らは政府の対応を批判したのに対し、安倍総理大臣は報告書の内容によって誤解が生じたという認識を重ねて示しました。
立憲民主党の枝野代表は、老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の報告書をめぐり、「安心ばかりが強調され、不安に向き合っていないことに多くの皆さんが怒っている。不安を持っている人に正面から向き合うことが求められている」と批判しました。
これに対し安倍総理大臣は「大きな誤解が生じた。大切なことは、年金生活者の生活実態は多様で、その実態にしっかり対応していくものになっているかどうかだ。そのために行ったのが平成16年の制度改正であり、『マクロ経済スライド』を導入し、平均寿命の延伸や被保険者の増減に対応するようになった。私たちは現実に向き合い、説明しながら制度の改正を行っている」と述べました。
国民民主党の玉木代表は、公的年金の将来的な支給水準の見通しを示す財政検証について「安倍総理大臣は『年金制度の持続性は担保されている』と国会でも何度も答弁したが、その根拠がよく分からない。新しい財政検証をなぜ速やかに出さないのか」と指摘しました。
これに対し安倍総理大臣は「財政検証をしている最中で、私自身はまだ報告を受けてはいない。いつ出すかは、政治、政局とはかかわらず、しっかりと検証して、報告してもらいたい」と述べました。
また玉木代表は、金融庁の審議会の報告書について「忙しいと思うので全部付箋を付けてきた」と述べ、安倍総理大臣に手渡そうとしましたが、安倍総理大臣が「すでに読んでいるのでもう結構だ」と玉木代表に返す一幕もありました。
共産党の志位委員長は「『マクロ経済スライド』を続けて、さらに貧しい年金にすることはばかげている。高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みを入れ、毎年およそ1兆円の保険料収入を増やし、年金の財源にすることを提案する」と述べました。
これに対し安倍総理大臣は「『マクロ経済スライド』を廃止して、将来の年金受給者の給付を減らないようにするためには7兆円の財源が必要であり、簡単には出てこない。『マクロ経済スライド』をやめてしまうという考え方はばかげている」と述べました。
日本維新の会の片山共同代表は、夏の参議院選挙に合わせた「衆参同日選挙」をめぐって「国会もまもなく終わるが、この国会で解散するのか、しないのか」とただしました。
これに対し安倍総理大臣は「大変重要な質問だが、『解散』ということばは私の頭の片隅にはない。頭の片隅にはないし、片隅にもないと言ったほうがいいかもしれない」と述べました。
さらに衆議院の解散の時期について「衆議院の任期は再来年の10月まである。私の自民党総裁としての任期は9月までだ。私自身が解散する可能性は9月までということになるのだろう。次の方はあと残りの1か月の中で判断されるだろうと考えているが、まずは、総理大臣としての責任を果たしていくことに全力を尽くしたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB