FX取引の顧客の損失補填(ほてん)を行ったとして「東郷証券」の実質的経営者らが逮捕された事件で、外部委託費を水増しして捻出した数千万円の裏金が会社の金庫に保管され、その一部が損失の穴埋めに充てられていた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。
東京・港区にある「東郷証券」の役員、林泰宏容疑者(58)らは、FX取引で損失を出した8人の顧客に合わせて6900万円分の損失補填を行ったとして、20日、金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
林役員は昭和54年にドラフト1位でプロ野球巨人に入団した元投手で、引退後に証券業界に転身し、「東郷証券」を実質的に経営していましたが、「東郷証券」では外部委託費を水増しして捻出した数千万円の裏金が会社の金庫に保管され、その一部が損失の穴埋めに充てられていた疑いがあることが、関係者への取材で新たにわかりました。
林役員は損失を出した4人の顧客に対しては、みずからが実質的に経営する大阪の商品先物取引会社「さくらインベスト」に口座を開設させ、金融商品の取り引きで利益が出たように装って損失を穴埋めしていたということで、このうち一部の顧客については口座の開設に必要な費用など、数十万円を東郷証券側が負担していた疑いがあるということです。
特捜部は、組織的に損失補填を繰り返していたとみて実態解明を進めています。
-- NHK NEWS WEB