太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判で、原告側の代理人は21日、国連の人権高等弁務官事務所に対し、当時の日本企業で働いていた韓国人の遺族の証言を文書にまとめて送り、人権侵害があったとして調査を求めたことを明らかにしました。「徴用」をめぐる問題を国連に訴えることで、日本政府と企業に対応を促したいねらいがあるとみられます。
韓国では太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判で去年10月以降、日本企業に賠償を命じる確定判決が相次いで言い渡されました。
これについて日本政府は韓国政府に対して請求権協定に基づく協議を求め、先月には次の段階となる第三国を交えた仲裁委員会の開催を要請しています。
しかし韓国政府は日韓両国の企業が自主的に財源を作り、原告への慰謝料に充てる案を提案していて、日本政府は「国際法違反の状況が続くことになる」として受け入れていません。
こうした中、三菱重工業を相手取った裁判の原告側代理人は21日、国連の人権高等弁務官事務所に文書を送ったことを明らかにしました。
文書は当時、広島県にあった三菱重工の工場で働いていた韓国人の遺族の証言をまとめていて、人権侵害があったとして調査をするよう国連に求めています。
原告側は「徴用」をめぐる問題を国連に訴えることで、日本政府と企業に対応を促したいねらいがあるとみられます。
-- NHK NEWS WEB