安倍総理大臣は通常国会の閉会を受けて記者会見し、年金制度に対する国民不安を念頭に「年金を充実する唯一の道は経済を強くすることだ」と述べ、制度の維持に向け経済の再生に最優先に取り組む考えを強調しました。また来月の参議院選挙について、最大の争点は安定した政治のもと改革を前に進めるか、混迷の時代に逆戻りするかだと訴えました。
この中で安倍総理大臣は、老後の資産形成で「2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の報告書をきっかけに年金制度に対する国民不安が高まっていることを念頭に「年金は老後の生活の柱だ。しかし、負担を増やすことなく給付だけを増やすことなどできない。年金を増やす『打ち出の小づち』など存在しない」と述べました。
そのうえで「年金を充実する唯一の道は経済を強くすることだ。年金について不安だけをあおるような無責任な議論はあってはならない。安倍内閣はこれからも経済最優先。景気の下振れリスクに対してはちゅうちょすることなく機動的かつ万全の対策を講じていく」と述べ、年金制度の維持に向け経済の再生に最優先に取り組む考えを強調しました。
一方、安倍総理大臣は来月の参議院選挙について「平成の時代、決められない政治、不安定な政治のもとで総理大臣は毎年(まいねん)のようにコロコロと代わった。あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない。最大の争点は安定した政治のもとで新しい時代への改革を前に進めるのか、それとも再びあの混迷の時代へと逆戻りするのかだ」と訴えました。
さらに安倍総理大臣は憲法改正をめぐって「令和の日本がどのような国を目指すのか。その理想を語るものは憲法だ。しかし残念ながらこの1年、国会の憲法審査会は衆議院で2時間余り、参議院ではたった3分しか開かれていない。議論すら行われないという姿勢で本当によいのかどうかを国民に問いたい」と述べ、参議院選挙では憲法改正の是非も訴えていく考えを示しました。
また安倍総理大臣は28日開幕するG20大阪サミットについて「国際社会が団結して課題に立ち向かい、力強いメッセージを発信していくことが重要だ。サミットでは違いを強調するのではなく、共通点や一致点を粘り強く見いだし、具体的な解決策に到達したい」と述べました。
そのうえで、「自由貿易の推進、イノベーションを通じた世界の経済成長のけん引やデジタル経済のルール作り、あるいは環境、地球規模課題の対応や女性の活躍推進などのテーマについてG20として力強いメッセージを発出したい。エネルギー安全保障の重要性に関しG20各国の間で認識の一致を図りたい」と述べました。
一方、安倍総理大臣は参議院選挙に合わせた衆参同日選挙をめぐり、「見送るもなにも、そもそも私は衆議院の任期が4年あるうち2年に満たない中で衆議院選挙をやると申し上げたことは、もちろん1回もないし、『頭の片隅にもない』と申し上げてきた」と述べました。
-- NHK NEWS WEB