フランス政府は、鉄道など環境に対する影響が少ない交通インフラの整備に充てるため、国内を出発する航空便の運賃に対して来年から課税する方針を示しました。
フランスのボルヌ交通担当相が9日発表した航空運賃への課税は、フランスを出発するほとんどの便が対象となり、行き先や利用するクラスなどによって税額が異なります。
このうちもっとも高い、EU域外に向かう便のビジネスクラスの税額は、18ユーロ(およそ2200円)となります。
税の導入で見込まれる1億8000万ユーロ(およそ220億円)の税収は、鉄道など環境への負担が少ない交通インフラの整備に充てるとしています。
ヨーロッパでは、日本円で数千円で利用できる格安航空が増えていますが、航空機は鉄道に比べて温室効果ガスの排出量がおよそ20倍に上るという試算をEUの機関が明らかにしています。
このため環境意識の高い市民の間では、航空機が温室効果ガスの排出量のわりには優遇されているとして、航空機の利用を拒否しようという運動も広がっています。
記者会見でボルヌ交通担当相は、「市民の間では航空交通への課税をめぐり、不公平感が高まっていた」と述べ、導入の必要性を説明するとともに、今後はEUレベルでの共通の税制の導入も目指す考えを示しました。
これに対してフランスの航空会社「エールフランス」は声明を発表し、「会社の競争力を著しく損なう」として、反対する姿勢を示しました。
-- NHK NEWS WEB