アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が議会下院の公聴会で証言し、「米中の貿易摩擦が、引き続きアメリカ経済の見通しの重しになっている」と述べ、景気の減速を防ぐため、今月下旬の会合で、利下げに踏み切る可能性を示唆しました。FRBが利下げに踏み切れば、およそ10年半ぶりとなります。
FRBのパウエル議長は10日、議会下院の公聴会に出席し、証言しました。
この中でパウエル議長は景気の現状について、好調な雇用情勢を背景に「底堅く推移している」という認識を示しました。ただ、「この数か月で不確実性が高まった。米中の貿易摩擦と世界経済の減速懸念が引き続き、アメリカ経済の見通しの重しになっている」と述べ、企業の設備投資や物価の上昇が鈍っていることに懸念を示しました。
こうした状況を踏まえ、FRBの会合の参加者の多くが緩和的な金融政策が必要だと判断しているとして、「アメリカ経済の拡大を維持するため、適切な行動をとる」と述べ、景気の減速を防ぐため、今月下旬の会合で、利下げに踏み切る可能性を示唆しました。FRBが利下げに踏み切れば、2008年12月以来、およそ10年半ぶりとなります。
FRBの金融政策をめぐっては、トランプ大統領が、去年12月まで段階的に進められてきた利上げを繰り返し批判して、金利の引き下げを迫っていて、FRBの最終的な判断の行方に関心が高まっています。
-- NHK NEWS WEB