古代エジプトの王ツタンカーメンの石像が、今月イギリスのオークションで落札されたことについて、エジプト政府は強く反発するとともに、石像の返還を求めてイギリス国内で訴訟を起こす考えを明らかにしました。
オークション会社「クリスティーズ」は今月4日、古代エジプトの王、ツタンカーメンの顔を彫り込んだとされる石像をイギリスで競売にかけ、石像は日本円で6億円余りで落札されました。
この石像についてエジプト政府は、南部のルクソールから違法に持ち出された可能性があるとしてオークションの中止を求めていましたが、実施されたことを受けて改めて声明を出しました。
この中でエジプト政府は「権利証書の提示がなく、エジプトから合法的に持ち出されたという証拠も示さずに売りに出すという職業倫理に反する行為に、非常に強い憤りを感じている」と強く批判しています。そのうえで、イギリスの法律事務所に依頼して石像の返還を求めて訴訟を起こす手続きに入ったことを明らかにしました。
オークションの結果を受けてエジプト政府は、これまでイギリス国内に持ち込まれた文化財の国外への流出を防ぐようイギリス政府に強く求めるとともに、文化財の保護に取り組むユネスコや、ICPO=国際刑事警察機構にも協力を呼びかけていて、文化財の返還に全力を挙げています。
-- NHK NEWS WEB