太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国大統領府の高官は、日本政府が求めている日韓請求権協定に基づく第三国を含めた仲裁委員会の開催について、応じない考えを示し、日韓の対立関係は一層深まる様相を見せています。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判では16日、原告側が、被告の三菱重工業が賠償に関する協議に応じなかったとして、すでに差し押さえていた資産を売却して現金化する裁判所への手続きに近く入ることを明らかにしました。
「徴用」をめぐる一連の裁判では、ほかの原告も、新日鉄住金、現在の日本製鉄と機械メーカー、不二越の資産を売却する手続きを始めていて、手続きが終われば、日本企業に実質的な損害が生じることになります。
このため日本政府は、韓国政府に日韓請求権協定に基づく第三国を交えた仲裁委員会の開催を求めていて、18日に双方が委員を指名する第三国を選定する最終期限を迎えます。
これについて、韓国大統領府の高官は16日午後「韓国政府の立場として第三国を含む仲裁委員会を受け入れることはできないということか」という記者団からの質問に対して「そのとおりだ」と答え、応じない考えを示しました。
また、韓国外務省関係者も、日韓請求権協定の準備書類や協議の過程を見ても、仲裁委員会に応じなければならないという強制性はなく、専門家も同じ意見だったとして、応じる義務はないという見解を示しました。
韓国政府が仲裁委員会に応じない場合、日本政府は対抗措置の実施や国際司法裁判所への提訴も検討する構えで、日韓の対立関係は一層深まる様相を見せています。
-- NHK NEWS WEB