ペルシャ湾のホルムズ海峡で、イランがイギリスのタンカーを拿捕(だほ)したことについて、イギリス政府は「決して容認できない」としたうえで、自国の船舶に対してホルムズ海峡周辺に近づかないよう勧告しました。
一方、イラン当局はタンカーを押収し捜査を進めるとしていて双方の対立が懸念されます。
イランの精鋭部隊、革命防衛隊は19日、ペルシャ湾のホルムズ海峡で、国際的な航行規則に従わなかったとしてイギリスのタンカーを拿捕しました。
タンカーを所有するイギリスの会社は「いかなる規則にも違反していない」と主張していて、イギリスのハント外相は「タンカーの拿捕は決して容認できない」と述べ、外交手段を通じて事態の解決に当たる方針を示しました。
また、イギリス政府は自国の船舶に対して当面、ホルムズ海峡周辺に近づかないよう勧告を行いました。
一方、イランの海事当局は20日、地元メディアの取材に対して、タンカーは拿捕される前に漁船と衝突したと説明したうえで、南部のバンダル・アッバースに移動させたタンカーを差し押さえて捜査を進めるとしています。
今回のイランの行動は、イギリス領ジブラルタルの当局が今月4日、EU=ヨーロッパ連合の制裁に違反する行為に関わっているとしてイランのタンカーを拿捕したことへの対抗措置とみられていて、今後、イランとイギリスの対立が深まることも懸念されます。
ホルムズ海峡周辺で、アメリカとイランとの間で緊張の高い状態が続く中、イギリスとイランとの間でも対立が深まれば情勢が複雑化する可能性もあります。
-- NHK NEWS WEB