太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、外務省が日韓請求権協定の交渉過程を記録した外交文書を公開したことについて、韓国外務省は「新しく発見されたものではなく、韓国の最高裁判所も関連する内容を考慮して最終判決を下している」として、日本企業に損害賠償を命じた判決を尊重するという従来の立場を強調しました。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、外務省は1965年に締結された日韓請求権協定の交渉過程を記録した外交文書を29日公開しました。
文書では、韓国側の代表が「徴用」に関する補償について「精神的・肉体的苦痛」が含まれるとしたうえで「韓国が国として請求し、支払いは国内措置とする」としています。
このため外務省は「請求権協定に『徴用』の慰謝料が含まれるのは明白で『個人請求権は消滅していない』とする韓国側の主張は矛盾している」と指摘しています。
これについて韓国外務省は30日、「新しく発見されたものではなく、韓国の最高裁判所も審理の過程で関連する内容を考慮して最終判決を下している」とするコメントを出し、日本企業に損害賠償を命じた判決を尊重するという従来の立場を強調しました。
この問題をめぐっては、日本政府が日韓請求権協定に基づいて第三国を交えた仲裁委員会の開催を求めましたが、韓国政府は今月18日の最終期限までに応じませんでした。
一方で韓国政府は先月、日韓両国の企業が財源をつくり原告への慰謝料の支払いに充てることを提案したのに対し、日本側は「国際法違反の状況が続くことになる」として拒否しています。
-- NHK NEWS WEB