アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は金融政策を決める会合を開き、中国との貿易摩擦が長期化して景気が減速するのを防ぐため、政策金利を引き下げることを決めました。FRBが利下げに踏み切るのは2008年12月以来、およそ10年半ぶりとなります。
FRBは31日まで2日間の日程で金融政策を決める会合を開き、声明を発表しました。それによりますと、アメリカ経済は失業率は低水準で緩やかに拡大しているものの、米中貿易摩擦などを背景に景気の先行きに不確実性があるとしています。
このため政策金利を0.25%引き下げて2%から2.25%の範囲とすることを賛成多数で決めました。FRBが利下げに踏み切るのはリーマンショックが起きた2008年12月以来、およそ10年半ぶりです。
また、手持ちの国債などを減らして、金融を引き締めていく政策も2か月前倒しで終了するとして、景気に配慮する姿勢を鮮明にしました。
ただ、パウエル議長は、記者会見で、今回の利下げについて「長期にわたる利下げの始まりではない」と述べ、市場関係者の間では、パウエル議長はさらなる利下げについては慎重な姿勢だと受け止められ、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は一時、470ドルを超える大幅な下落となりました。
FRBの金融政策をめぐっては、来年の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領が、経済成長を加速させるため、パウエル議長に対して、繰り返し利下げを求めていて、中央銀行の独立が揺らぎかねない事態となっていました。
-- NHK NEWS WEB