アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、およそ10年半ぶりの利下げを決めました。景気の減速に直面する東南アジアの新興国にとっては、景気の下支えのための利下げを行う余地が広がると、前向きな受け止めがある一方、輸出産業が経済成長のけん引役となっている国では、自国の通貨の値上がりへの警戒感も出ています。
FRBは31日まで開いた金融政策を決める会合で、中国との貿易摩擦の長期化で景気が減速するのを防ぐため、2008年12月以来、およそ10年半ぶりの利下げを決定しました。
アメリカによる利下げは米中貿易摩擦などの影響で景気の減速に直面するアジアの新興国にとっては、景気の下支えのための利下げを行う余地が広がると前向きに受け止められており、すでにインドネシアやインドなどの中央銀行が、FRBの決定に先だって利下げに踏み切りました。
一方、輸出産業が経済成長のけん引役となっているタイでは、自国の通貨がさらに値上がりすれば、輸出の採算の悪化によって企業の収益が圧迫されかねないと警戒感も出ています。
FRBのパウエル議長は記者会見で追加の利下げには慎重な姿勢を示しましたが、アジアの新興国はアメリカの金融政策が変われば、自国の通貨の変動を通じて経済への影響を受けやすいだけに、FRBの今後の動きを注視しています。
-- NHK NEWS WEB