多くの海水浴客でにぎわう鹿児島県奄美市の2つの海岸で、市が設置する監視員が1人も集まらないまま海水浴シーズンを迎えていることが分かりました。NHKの取材に対し、鹿児島県内で海岸に監視員を置いている自治体のうち、半数以上が「募集に困っている」と答え、人手不足の影響が広がりつつあります。
鹿児島県の奄美市笠利町の土盛海岸と用安海岸は、その美しさから県内外からの海水浴客が増えています。
過去に海難事故もあったことから、奄美市はシーズンごとに監視員を置いて安全管理をしてきましたが、去年請け負っていた業者が人員の確保が難しいことを理由に6月に入札を辞退し、ほかの団体や企業からも応募がなかったということです。
このため市は、先月30日から地区にある複数の海岸を定期的に見回る巡回パトロール員を設けられるよう求人を始めましたが、今のところ集まっていないということです。
奄美市笠利総合支所地域総務課の當原奈美江課長は「観光業界も巻き込んで、遊泳者の安全を守る仕組みを検討しなければいけない」と話しています。
海上保安庁奄美海上保安部は「海水浴客の安全を確保するためにも監視員を置くなどして事故を防ぐ態勢を確立することが望ましい」としています。
鹿児島県内で海に面した39の自治体にNHKが取材したところ、監視員を設置する17の市町村のうち10の市町は「人手不足や高齢化で募集に困っている」と回答し、海開き直前まで見つからなかった自治体もあるなど影響が広がっている実情が浮き彫りになりました。
-- NHK NEWS WEB