貿易摩擦をめぐるアメリカと中国の対立激化を受け、アメリカの株価が先週、ことし最大の値下がりを記録するなど、金融市場の動揺が続いています。こうした中、先進各国の中央銀行トップらが今週末アメリカで開く会合で、市場の安定や世界経済の減速懸念に対してどんなメッセージを打ち出すか注目されています。
今月に入って世界の金融市場は動揺を続け、14日にはニューヨーク株式市場のダウ平均株価が800ドルということし最大の下落幅を記録した一方で、リスクを避けようと、より安全とされる債券市場に資金が流れ込み、アメリカの長期金利は記録的な低さとなりました。
背景にあるのが、米中貿易摩擦の対立激化です。
トランプ政権が中国からのほぼすべての輸入品に関税を上乗せする厳しい姿勢を鮮明にしたことで、中国の通貨・人民元が値下がりし、両国の対立は為替にも広がっています。
世界経済は成長を続けているものの、中国の減速に加えドイツなどヨーロッパもふるわず、いわばアメリカの景気拡大が全体をけん引しています。
そのアメリカ経済が中国との対立で景気後退にまで陥るのではないかという観測が、金融市場の変調を招いているのです。
こうした中で、今週22日からアメリカのジャクソンホールで、先進各国の中央銀行の幹部らが毎年恒例の会合を開きます。
会合では、市場の安定や世界経済の減速懸念に対して、どんなメッセージを打ち出すかが焦点になっています。
特に市場の動揺が続けば、日本経済にとってはマイナスの円高にもつながる可能性があるだけに、FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が追加の利下げに言及するかどうかが注目されています。
-- NHK NEWS WEB