移民や難民政策をめぐって大きな議論が起きているアメリカで、大手ビール会社が、移民の創業者の苦難を描いたコマーシャルを制作し、放送したところ、トランプ大統領の政策を批判したとして、大統領の支持者などが不買運動を呼びかける事態になっています。
アメリカを代表するビールのブランド、バドワイザーを持つ大手ビール会社が、ドイツからの移民だった創業者の1人が、苦難の末アメリカに渡り、共同創業者と出会い事業に乗り出す姿を描いたテレビコマーシャルを制作し、5日に行われたNFL=アメリカプロフットボールリーグのチャンピオンを決める、スーパーボウルの当日に放送しました。
アメリカのABCテレビなどは、このコマーシャルに対し、7か国の人の入国を一時的に禁止する大統領令を批判したものだとして、トランプ大統領の支持者などが反発し、インターネット上で、このビール会社の製品の不買運動を呼びかけていると伝えました。
中には、トランプ大統領への支持を表明したことで知られる共和党のペイリン元アラスカ州知事が「政治的なものだ」と批判するなど、インターネット上の書き込みは数万件に上るということです。
これに対して会社側は「制作は去年5月から始めており、特別な意図は無い」と説明しています。
スーパーボウルは、アメリカ最大のスポーツの祭典で、1億1000万人余りが視聴したとみられ、コマーシャルをきっかけに、アメリカの分断の一端が改めて浮き彫りになっています。
-- NHK NEWS WEB