ロシアが初めて開発した水上を移動して過疎地域に電力を供給する原子力発電施設が北極圏に向けて出港し、環境保護団体からは海の汚染につながらないか懸念する声も上がっています。
ロシア国営の原子力企業「ロスアトム」が初めて開発した原子力発電施設の「アカデミク・ロモノソフ」は、全長144m、幅30mで、小型の原子炉を2基搭載し、タグボートにえい航されて水の上を自由に移動することができます。
原子力発電施設は核燃料の装填(そうてん)など一連の作業を終え、23日、北部ムルマンスクから北極海に面したチュコト自治管区の町ペベクに向けて出港し、年内にも営業運転が始まる見通しです。
この施設をめぐっては、人口が極端に少ない過疎地域に電力が供給できるメリットがある一方、国際的な環境保護団体からは、津波やテロが起きた時、放射性物質が放出され海の汚染につながらないか懸念する声も上がっています。
環境問題を担当するイワノフ大統領特別代表は安全対策は十分取っていると説明したうえで「鉱物資源の採掘などの産業を発展させ、老朽化した、地方の原子力発電所や火力発電所の閉鎖にもつながる」と述べ、必要性を強調しました。
-- NHK NEWS WEB