現行の公的年金制度は、現役世代が納める保険料などによって高齢者の年金給付を賄う仕組みになっていますが、少子高齢化で、支え手の現役世代が減る一方、年金を受け取る高齢者は増加する見通しです。
ただ、現役世代の保険料を際限なく上げることはできないため、保険料は上限が決められています。
このため、給付水準を抑える調整を行わなければ、収支のバランスが保てないとして、平成16年の法改正で、年金支給額の伸びを、物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みが、導入されました。
具体的には、賃金や物価の上昇による年金額の伸び率から、公的年金の加入者の減少率や平均寿命の伸びを踏まえた「調整率」を差し引きます。
これまでに、平成27年度と今年度の2回発動されました。今年度は、物価と賃金の伸びにあわせて、本来、0.6%年金額が増えることになっていましたが、「マクロ経済スライド」による調整で、伸びが、0.1%に抑えられました。
政府は、若い世代の負担が重くなりすぎないようにするために不可欠な措置だとしています。一方、野党からは、「支給額が減り、高齢者の生活に影響を及ぼす」などとして、廃止を求める意見も出ています。
-- NHK NEWS WEB